2008/05/08
キーマンに聞く001
子ども調査研究所所長 高山英男さん

子どもたちは今

●子どもたちをとりまく環境は、どう変わりましたか?

高山 最近、ある地方の保健所と一緒に、
子どもたちの健康と生活についての調査をしたけど、過疎化しているということが一番大きな問題ですね。
国道沿いのロードサイドの大型店舗が出来て、古い商店街が潰れていく。
買い物に行くのは自動車だし、塾に行くにも、友だちの家に遊びに行くのにも、親が自動車で連れていく
ことになる。子どもたちが同世代だけで長い時間いられるのは学校の中だけなんだ。

●近所の友だちがいなくなっているんですね

高山 近くの駄菓子屋に友だち同士で遊びに行くということも少なくなって、
子どもたちは家に帰ると孤立してしまう。近所に遊びに行くということがなくなっている。
当然、運動不足になりますね。

●親の方はどう変わりましたか?

高山 親たちの学校に対する要望を聞いていると、
プールを温水プールにしてくれとか、
校庭を芝生にしてサッカーで遊べるようにして欲しい、というようなものが目立つ。
どうやら、親にとって学校というのは学力のための教育を期待するというより、
子どもを安心して依託出来る機能を期待しているんじゃないかな。
サロンとしての学校が望まれているような気がします。

●受験のための塾とは違うということですね

高山 一方で学校は管理体制が厳しくなって、
ものすごい数の監視カメラが増えて、放課後になると子どもたちを追い出す。
まるで要塞のようになっている。
子どもたちは息苦しくなって“遊びとしてのイジメ”が増大しているのだと思う。

●大変な状況ですね。家の方はどうですか?

高山 お母さんは、子どもたちが学校に行っている間は安心して、
自分のことが出来る。逆に、子どもたちが学校から帰ってくると、もの凄く不安になっている。
やたらと、どこに行くのにも子どもにくっついていく母親が増えている。
一番、不安なのは、誘拐とかよりも交通事故ですね。子どもというのは、好き勝手に興味
あるものを見つければ走って行ったりするので、お母さんは心配でたまらない。
昔は、学校から帰れば、子どもたちは近所で子どもたち同士で遊んで、
その間にお母さんは夕食の支度とかしていたけど、今は、子どもたちの遊び場に
お母さんもついていく。くたびれちゃいますね。

●交通事故も自動車社会の問題ですね

高山 学校の先生は昔に比べて本を読まなくなったと思うのですが、
それの原因の一つに自動車通勤があると思います。
最近は自動車が通勤する先生が増えている。電車通勤だと、車内で本を読むことが出来るけど、
自分で運転していたら本は読めないものね。
自動車通勤のおかげで、学校の帰りに同僚とお酒を飲むこともすくなったのではないかな。

●企業と教育の関係については、どう思いますか。

高山 最先端の企業ほど教育に進出したがりますね。
SONYも学校教育に入ろうとしましたが、なぜか、『教育』というテーマを聞いただけで、
既存の学校のあり方や既成概念に合わせようとしてしまうのね。
もっと、新しい視点でやれば良いと思うのに、『教育』という呪縛は強いみたい。

(インタビュー平成18年度 ODECO実施委員 橘川)
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戦後子ども文化研究会

◇教育CSR会議では、高山英男さんと協同で戦後の子ども文化の流れを検証する
研究会を実施している。
子どもにまつわる事件や教育関係の出来事を
事例的にまとめた戦後資料本はたくさん出ているが、子どもたちの内面の変化をとらえた
体系的な資料は少ない。戦後社会のさまざまな展開が子どもたちにどういう影響を
与え、「今の子どもたち」に至ったのかを精査していく計画である。

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