教育書評

2008/06/14
カバゴンの放課後楽校--とにかく、おもしろくなくっちゃァいけない--

いま、大人は子どもたちに何をすればよいのか。カバゴン先生の答えは明快だ!

■カバゴンの放課後楽校--とにかく、おもしろくなくっちゃァいけない--■
(阿部 進 新評論 ¥1,600)

2008.5.31発行
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60年代に「現代っ子」という言葉を生み出し、以来、半世紀近くにわたって、どっぷり子どもたちとつきあってきた
カバゴンこと阿部進が、78歳にして送る教育実践論。これが、実にわかりやすくて、“おもしろい”。

カバゴンは言う。
「今も昔も子どもの“仕事”は、勉強・あそび・お手伝い」。
この3つの仕事をどれでもすれば、カバ券なるお駄賃=エコマネーがもらえ、だがしや等で自由につかることができる。子どもたちはこの「だがしや楽校」の試みに目を輝かせた! 
自らの工夫で仕事(勉強・手伝い)をして、お小遣いを得る実感。自由に使える“10円玉”の幸福。

2007年、厚生労働省と文部科学省は「放課後子どもプラン」を策定。学校から帰ってきた子どもたちを、空き教室や、地域コミュニティで受け容れようとの試みが始まった。しかし、具体的に何をしたらいいのかわからず、ただ空き教室を開放しているだけ、という自治体も少なくないようだ。

カバゴンはこれに疑問を投げかけた。
子どもの居場所は、安全で息抜きができて、ただそれだけでいいのだろうか?

放課後はおもしろくなくちゃいけない。学校で学んだことを活かせなくちゃいけない。
さらに勉強っておもしろい!と思わせなくちゃいけない。

カバゴンのイメージする放課後の原点は「原っぱ」であり、「駄菓子屋」。
それが今の時代に再現すると「放課後楽校」になる。
原っぱやだがしやでは、子どもたちがコミュニティの主役だった。
ひみつもあれば、自分たちにしかわからない約束もある。

どの子もエネルギッシュで、イキイキしていたのは、おそらく、生身の体験を重ねながら、なんにでもなれる「夢」を描けたからなのだろう。そんな「子どもの時間」は、やがて一人で生きていく力の土台になった。

理想はわかるけど・・・と尻込みする人もいるだろう。しかし、それは群馬県・高山村での「夏楽校」レポートを読め
ば吹っ飛んでしまう。大人は何をすればいいのか、よくわかる。誰のために勉強するの? なんで仕事するの?そしてどうして死んじゃいけないの?。究極の質問に対する答えもまた鮮やかだ。

現在も、カバゴン先生は、年間30〜50回、全国の幼稚園、保育園、小学校で出前授業をおこなっているという。その情熱には頭が下がるばかりだが、カバゴン先生にまかせっきりでもいられない。この本をきっかけに、おもしろい放課後の輪が広がっていけばどんなにいいだろう、と思わずにはいられなかった。
(妹尾みえ)

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2008/05/08
『月刊 生涯学習』(文部科学省 編集)

社会全体の中から学びの場を考える
■『月刊 生涯学習』

(文部科学省 編集)


月刊『マナビィ』が、文部科学省生涯学習政策局の編集によって、
その名も月刊『生涯学習』として生まれ変わった。

注目したいのは、中央教育審議会答申の諮問に関する特集。
「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」として
「知の循環型社会の構築を目指そう」と呼びかけている。

学校+家庭+地域、そして社会や企業が、それぞれの財産を持ち合い、
未来の社会をクリエイトしていく。
専門家の見解をを一方的に押しつけたり、また、ありがたがるのではなく、
大切なのは、お互いに本当に必要な情報とスキルを交換しあうことだ。ネットワーク作りによって、社会全体の教育力を向上させる。これは、まさに私たち(ODECO)のめざすところでもある。

<生涯学習>という名前から、社会人のプログラムを想像する人もいるかもしれないが、
これは社会全体から学びの場を考えていこうという雑誌。あらゆる人に、とっかかりを与えてくれるはずだ。

もちろん、各地域での取り組みも紹介されている。
今月は、新潟県東蒲原郡阿賀町の公民館サポーターズクラブ、千葉県市原市の中学生の夢を実現する「夢プラン21」、岡山県「まなびピア岡山2007」、大分県「親学のすすめ」の4つ。
こうした活動報告が伝わることで、やがて大きなうねりになっていくことにも期待したい。(妹尾みえ)


●月刊 生涯学習
(B5版 定価525円)
インタビュー学びの達人:プロゴルファー中嶋常幸
連載エッセイ:辰巳琢郎
学びの仕掛け人:牟田静香(東京都 エセナ大田)ほか
http://www.kokuseijoho.jp/

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