教育関連ニュース

2008/08/16
5歳未満の子どもたちすべてに本を贈ろう!
米国から花開いたこころみ

■カントリー歌手ドリー・パートンの夢

米国に、2006年、2007年の2年間で、子どもたちに合計770万冊もの本を贈った女性がいる。
ドリー・パートン。グラミー賞、アカデミー賞受賞歴もある米カントリー・ミュージック界の女王だ。

父親は賢明な人だったが読むことができなかったと語るパートンさんは、所得にかかわらず、すべての人が読書に触れることができるようにしたいと夢を抱いていた。それがパートンさんとドリー・パートン財団が運営する"Dolly Parton's Imagination Library“として実現したのである。

■5歳未満の子どもたち、1人に毎月1冊

活動は、1996年にスタートした。基本は、5歳未満の子どもたち1人1人に対し、毎月、無償で1冊の本を贈る。最初は出身地テネシー州セヴィアー郡だけが対象だったが、内容が評価され、やがてアメリカ全土、カナダ、英国へと広がった。その結果、2007年には合わせて732のコミュニティが参加し、毎月、42万人の子どもたちに、本が贈られるまでになったという。

■コミュニティとスポンサーが支える

経費は、スポンサーがまかない、子どもの登録など業務管理は地域コミュニティの代表が行う。本の購入や発送など根幹の部分は、パートン財団の担当だ。

○ 地域を決定し、コミュニティをたちあげる
○ 子どもをプログラムに登録・管理するスポンサーを募る
○ スポンサーは、年間子ども1人あたり28ドル(日本円でおよそ3000円)を負担する。これは資料代および郵送の料金にあてられる。
○ スポンサーの名前は、本を送付する際のラベルやパンフレットで周知される
○ コミュニティは、子どものデータ登録や経費の支払いなどを行う

○ 本の選択・・・各国の児童サービス担当の図書館司書、大学関係者など専門家からなる委員会が、子どもの発達段階に応じたものを選ぶ
○ 本の購入・送付など事務作業、データベース運用・・・ドリー・パートン財団

スポンサーは、地元企業であったり、地方自治体、いわゆるNPOや個人の場合もある。特に、大手出版社ペンギン・グループは、全面的にプロジェクトを支援している。

著名人とはいえ、個人の想いが国を超え、10年でここまで実を結んだことは特筆に値する。日本でも読書をうながすキャンペーンだけでなく、 こうした試みが行われるようになればいいと願うのは、私だけではないだろう。(文/妹尾みえ)

Welcome to Dolly Parton's Imagination Library
http://www.imaginationlibrary.com/

○参考:カレントウエアネス(国立国会図書館) http://current.ndl.go.jp/

2008/07/22
だがしや楽校の一員になりませんか?

教育書評でご案内したカバゴンこと阿部進氏が提唱した「だがしや楽校」のサイトをご紹介します。
今後の予定も見ることが出来るほか、自分たちもやってみよう!と思われる方の参考になる情報がいっぱい。だがしや楽校では、誰でも先生になれるといいます。日本中に、だがしや楽校の輪が広がるといいですね。

だがしや楽校オン・ザ・ウェブ
http://www.dagashiya-gakko.com/

だがしや楽校研究会
http://kenkyukai.bakufu.org/

○こちらもお読みください・・・
子どもが主役の一大イベント 横浜だがしや楽校

2008/07/21
農山村漁村プロジェクトに向けて
8月3日帯広で研修会

ご存じのように、平成20年度からは全国すべての小学校で、
農山漁村で長期宿泊体験活動(愛称:ふるさと子ども夢学校)がおこなわれることになりました。総務省、文部科学省、農林水産省の連携事業として、5年以内に体験活動の拠点を全国に整備する予定になっています。

林間学校、臨海学校を体験した方は多いと思いますが、このプログラムでは1週間程度、共同生活を送りながら、より具体的に自然とふれあう活動をおこなうことを目的としています。

とは言え、受け容れる側も、また教育現場も、まだまだ手探り状態というのが現状。各地で勉強会が開かれています。

そのひとつが、8月3日にNPO教育支援協会北海道の主催によって、北海道・帯広で行われる第2回「十勝地区自然体験活動合同研修会」。4月に続く2回目の今回は、文部省の責任者もまじえ、学校がどのようにこの活動に取り組んでいけばよいのかをテーマに取り上げます。

研修会の前後には体験活動をおこなう現場の視察も行うとのこと。雄大な十勝の自然の中で、具体的に感じられることも多いはずです。参加ご希望の方は事前にご予約を。

●8月3日(日) 帯広市 とかち館
参加費:無料

公開討論パネラー
銭谷眞美 氏〔文部科学省事務次官〕 (予定)
門川大作 氏〔京都市長・前京都市教育長〕
寺脇 研 氏〔京都造形芸術大学教授〕
宮本英樹 氏〔NPOねおす専務理事〕
コーディネーター:吉田博彦氏 教育支援協会代表理事

http://www8.plala.or.jp/kyoikushien/dainikaikensyukai.pdf


参考URL
●農林水産省プレスリリース(モデル地区一覧など)
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/kouryu/080425.html
●(財)都市農山漁村交流活性化機構
子ども農山村漁村交流プロジェクト・コーディネイトシステム
http://www.ohrai.jp/kodomo/index.html

2008/06/25
子どもが主役の一大イベント 横浜だがしや楽校。

子どもが主役の一大イベント
横浜だがしや楽校。
2007年10月27/28日 パシフィコ横浜

 dagashi029.jpg入り口に近づくと、子どもたちが両側に列を作って笑顔で迎えてくれる。
 これも「エコマネー」を獲得するための子どもたちの「仕事」だ。

 2007年10月27日・28日にパシフィコ横浜で開催された『横浜だがしや楽校2007』(主催:横浜だがしや楽校実行委員会 委員長 阿部進)。初日は台風に見舞われるという悪条件ながらも、参加者は5万人を超えた。
 『横浜だがしや楽校』は今回で4回目。子どもたちにエコマネーを使った「商い体験」「横浜国際フェスタ」等との共同開催で年1回の大規模なものだが、地域での小規模な「だがしや楽校」も各地域で開催されている。

 会場には地域のNPOや学校・PTA・商店街や企業の趣向を凝らした「お店」が並んでいる。子どもたちは「お店」のイベントに参加したり、お手伝いをしたりして、「エコマネー」をもらう。子どもたちのお目当ては、「だがしや」にあるお菓子やおもちゃだ。もちろん、「だがしや」でお菓子やおもちゃを売るのも子どもたちの「仕事」だ。

 『だがしや楽校』は、かつて、子どもたちが集まり、コミュニケーションの場だった「駄菓子屋」をヒントに、山形県の中学校の教諭だった松田道雄氏(現:東北芸術工科大学こども芸術教育研究センター准教授)が1997年に山形市内の駄菓子屋前の公園で始めたのが始まり。「だがしやのおばあちゃん」とのやりとりの中で、社会のルールやコミュニケーション能力を自然に身に付けることを目的として、全国各地でそれぞれ創意工夫が施され、草の根的に開催されている。
 子どもたちにとって、このような「商い体験」は、社会を理解していく上で、貴重な経験になるはずだ。(金子)

2008/06/25
経済産業省が薦める教育CSR

経済産業省が呼びかける
教育CSRの薦め
<教育CSRフォーラム>

 ECSRForum.jpg
2007年11月29日有明のパナソニックセンター東京で、経済産業省が主催する『教育CSRフォーラム』が開催された。

 今回のフォーラムは、経済産業省が文部科学省と連携しながら取り組んでいる『キャリア教育』と『理科実験教室』プロジェクトへの参加を企業に呼びかけることを目的としたものだ。
 
 経済産業省では、政府の「若者自立・挑戦戦略会議」が、学校段階からの『キャリア教育』の推進を最重要課題として位置づけたのを受け、平成17年度から3年計画で「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」を開始。小中高校の各段階で働くことの面白さの体験や理解を促す「キャリア教育事業」を展開している。主に、企業から講師派遣をする「出前授業」や「職場体験」、「工場・施設見学」などの受け入れなどがその内容だが、このプロジェクトは文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携した連続5日以上の職場体験を行う学習活動『キャリアスタート・ウィーク』とも連動しており、平成18年度は209地域において実施された。

 また、平成19年度から、子どもたちの「理科離れ」に対して「理科実験教室プロジェクト」を小学5・6年生を対象に展開。
 両プロジェクトとも、学校と企業の仲介役として「地域コーディネーター」を置いていることが特徴だ。地域の特色やアイデアを活かした活動をしている企業や団体がその任に当たり、地元産業界や教育委員会、自治体、PTAといった地域の関係者とのネットワーク作りを目指している。現在、「キャリア教育」では28ヶ所、「理科実験教室」では9ヶ所で「地域コーディネータ」が活躍している。(金子)

2008/06/25
イベントが環境教育の「場」に
エコプロダクツ2007

エコプロタクツ2007
2007年12月13日〜15日 東京ビッグサイト

オープン時間を前に、入り口には、同じ帽子や制服を着た大勢の子どもたちが整列している。
 2007年12月13日〜15日に開催された『エコプロダクツ2007』(主催:社団法人産業環境管理協会・日本経済新聞社)の朝の1コマだ。今回のテーマは「今日から始めよう『ダイエット!CO2』」。600を超える企業・団体・NPO・学校が出展し、入場者は16万人を超えた。
 今回で9回目を迎えたこのイベントの本来の目的は「環境に配慮した製品やサービス、社会や企業の先進的な取り組みを紹介する」ことだ。しかし、このイベントの見学を総合学習の授業の一つとして組み込んでいる学校も多く、授業で発表をするために、子どもたちは、いくつものブースを見学し、解説を聞きながら、質問をしたり、資料を集めながら、情報収集をしている。イベントがそのまま「環境教育」の場として活用されている。
 会場には『NPO・NGO/大学・教育機関コーナー』が設置され、90以上のNPOやNGO、大学や高校や教育機関が出展している。さまざまな「環境」に対する問題意識や解決・啓発のアイデアが紹介されていた。
 また、『学びの原点』のコーナーでは、自然体験学習や環境保全に関する「企業とNPOが連携した環境教育」の事例の展示や発表が行われていた。「環境」のような大きな問題に取り組んでいくためには、企業やNPOの単独の努力だけではなく、「共働」していくことで、より大きな成果をあげられるということだ。
 このような「教育」に活用可能なイベントが、首都圏だけでなく、全国各地で開催されるようになれば、教育の「地域格差」の解消につながっていくはずだ。(金子)

2008/06/25
高まりを見せる障害の発見と克服。
「LD学会」を取材して

障害の発見と克服への関心の高まり。
第16回日本LD学会開かれる
2007年11月23日〜25日 横浜市開港記念会館他 
 

 2007年11月23日〜25日、『第16回日本LD学会』が開催された。

「LD(Learning Disabilities)」とは「全般的な知的発達に遅れが認められないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難を示す、学習障害」のこと。
 計3会場を使い、症例研究や指導方法に関する、様々なセミナーやシンポジウムが行われたが、いずれも盛況。学校教育法の改正により、2007年4月から「LD」が特別支援教育の対象になったこともあり、この問題に対する関心の高まりが感じられた。

 今回のメインテーマは、『ディスレクシアを主体に‐特異的LDへの気づきと支援』。『読む』ことに関する障害『ディスレクシア(失読症)』である。
 特に、神経心理学分野での世界的研究者、マリアン・ウルフ博士(ボストン タフツ大学)の『読みの脳科学の進歩』に関する講演やマサチューセッツ州のディスレクシア児のための私立校ランドマークスクールの小中学校の校長ロバート・カーン氏の講演は、1000人以上を収容する会場が満席となり、立ち見も出たほどだった。
 
 「ディスレクシア」は、学校の集団教育の中で気づかれないことが多く、また気づいても個別的な配慮や指導にはつながりにくい現実がある。児童が『LD』であるにもかかわらず、周りから「怠けている」と非難され、それが「いじめ」につながるケースも多いという。
 適切な指導さえ受けられれば、克服できるケースもあるという「ディスレクシア」。周りの大人たちの「気づき」と適切な「指導」が重要な鍵を握っているのだ。(金子)

日本LD学会

2008/06/18
2010年は国民読書年:国会決議に関する報告集会が開かれました

dokusyonen.jpg>6月16日、東京都千代田区の憲政記念館で、
(財)文字・活字文化推進機構主催による
「『国民読書年』国会決議に関する報告集会」が開かれました。

6日、衆参両院で、
2010年を「国民読書年」とすることが採択されたことを
受けての報告会。およそ500人収容のホールは
立見の方がでるほどの盛会でした。

(財)文字・活字文化推進機構は
2007年10月に、新聞閲覧・読書人口の底上げを図る活動を進めようと設立。
代表を福原義春氏(資生堂名誉会長)、
副代表を阿刀田高氏(作家、日本ペンクラブ代表)が務めています。

この日の会は理事長でもある、
童話作家、肥田 美代子 さんの進行で進められ、
会長の福原氏が
「政、官、民の協力によって
1人でも多くの国民が、読書の魅力を共有することが大切」
と挨拶。
続いて、活字文化議員連盟幹事長の鈴木恒夫衆院議員が、採択までの経緯を報告しました。
鈴木議員は、元毎日新聞の記者でもあり、その観点からも
最近の読書、新聞離れを指摘。
大いに気運を盛り上げ、
考える力、品格を取り戻すきっかけを作ろうと呼びかけました。

また、小坂健介・日本新聞協会副会長、
小峰紀雄・日本書籍出版協会理事長からは
従来の枠組みを超え、手を携えて協力していくとの表明があり、
今後の新聞、出版メディアの動きに
注目が集まります。

このほか国立国会図書館長 長尾 真氏からは
国際子ども図書館(東京都・台東区)でのこころみや、
テーマに基づいた本をセットにし、1ヶ月全国の学校に貸し出す取り組み
などについても説明がありました。
また、氏は
自費出版を含め、すべての本を国会図書館へと
改めて納本の意義も訴えました。
国会図書館に限らず、学校、地域の図書館整備は
読書の機会を広げるのに急務となっています。

挨拶の中にもありましたが
朝読書に取り組む子どもは今や950万人。
その成果もあってか、読書量は上向きに転じているとの
データもあります。
いわゆる「印刷物」だけでなく、電子図書、携帯小説など
読書の対象広がっている現在において
本と親しむ意義をどこに求めるのか
そもそも読書の楽しみとは、どういうことなのか
については、私たち大人もよく考えていかなければなりません。
日本のよさ、伝統・文化の発見をめざすともなれば
なおさらです。

本を読んで楽しかった!
この本に出会えてよかった!
国民読書年に向けての取り組みが
そうした感動につながっていくよう
私たちも行動していきたいと、改めて感じました。
(妹尾みえ)

■財団法人 文字・活字文化推進機構
http://www.mojikatsuji.or.jp/index.html

2008/04/23
2008.4.14 平成19年度『文部科学白書』が発行されました

今年度の白書は、特に読み応えがある、といっては失礼だろうか。
なにしろ、新しい制度や、新しい動きが目白押し。導入を前に、チェックしておきたい事項が多い。

教育基本法改正を前に、初等中等教育のどこが変わるのか。学校運営はどのように変化するのか。
あるいは教員免許更新制はなぜ導入されるのか、といったポイントについて、正確な資料は役にたつ。

興味深いのは、全国学力・学習状況調査のデータだ。
数字を見る限りでは、学習時間や、読書時間は増加の傾向。朝食をとる子どもの数も増えている。
本を読まない、勉強しない、と言われるが、では子どもたちの何が変わったのだろう。
考えるべき問題はますます、奥深く沈み、複雑化していると思わずにはいられない。
(妹尾みえ)

more

page top

home

OPINION