2008/06/19
学校訪問2007 ●何をどう学ぶのだろうか?[総合的な学習の時間]
東京都立小石川中等教育学校
話にはよく聞くけれど、学校を卒業してかなりたった身には、今ひとつピンとこないだろう。
学校や先生方は、何をどう考え、どんな風にこの時間を利用しているのか。
東京都立小石川中等教育学校1年生の授業を見学させてもらった。
学校訪問2007 ●東京都立小石川中等教育学校
INTERVIEW 東京都立小石川中等教育学校 主幹 稲井達也 氏
この学校には2万5千冊の蔵書を誇る図書室があります。
このたびの改修で、調べものをするためのコンピュータを装備したメディア学習室ができました。
自ら学ぶことのできる恵まれた環境といってもいいでしょう。
新聞から得る
メディアリテラシー
「家で新聞読んでいる人は?」
先生の問いに、クラス40人のうち10人余りが手を挙げた。意外に多い。
続いて、生徒一人ひとりに1部ずつ新聞が配布される。朝日あり、読売あり、産経あり、毎日あり、発行日もまちまちだ。
先生の問いかけは続く。
「第一面にはどんな特徴があるだろう?」
すかさず、生徒の手が挙がる。
「新聞社の名前が書いてある」「大きい事件が載ってる」と次々と答える生徒たち。
同時に、生徒たちはそれをワークシート(授業のポイントとなる点について、書き込み欄の設けられたプリント)に記入していく。
「新聞紙面の構成」などという抽象的な視点からの回答を中学1年生に求めるのは、少々酷ではないかとも思えたが、生徒たちにはそれを苦にしている様子など見られない。むしろ、偶然手にした「ある日の朝刊」を楽しんでいるようだ。
ここ東京都立小石川中等教育学校は、都立小石川高等学校を母体とし、06年4月に誕生した6年制の中高一貫校。
この日見学した「新聞の読み方」という授業は、「言語文化」という科目の中の一単元。
担当の稲井達也先生によれば、新聞の読み方を通して「メディアを批判的に読み解く力」を身につけることがねらいだ。
次回以降の授業では、3社の記事を読み比べ、表現の違いの比較検討、新聞広告の分析なども行なう。まとめとして「新聞記者の講演会」を開催。取材現場の経験などを聞き、新聞の裏舞台を知ろうというものだ。
(※写真は「メディアリテラシー」の授業。メディアリテラシーとは、メディアを批判的に読み解く能力のこと)
教科と連携して
カリキュラムを開発
この学校では「総合的な学習の時間」を使って、「言語文化」(国語・英語)、「自然科学」(数学・理科)「国際理解」(社会・英語)の3つの分野を学ぶ。
教科の学習では集中的に学ぶことのできない学習領域・内容に特化している。それを計画的かつ継続的に学習を進めるために、先生たちは手づくりでカリキュラムを開発した。
1年生を対象とした「言語文化」では、国語科と連携し、独自に開発した「読書ノート」による読書指導や図書館の使い方、作文の書き方、新聞の読み方、情報収集と発信の方法、スピーチやプレゼンテーションの仕方などを、年間を通じて計画的に学んでいく。
実は、稲井先生は元々は高校の国語の先生。高校生も教えている先生が、中学生の授業やカリキュラム作りを担当するというのも、中高一貫校ならではの特色だろう。
「ゆとり教育」の弊害の象徴として、何かと槍玉に挙げられることの多い「総合的な学習の時間」。
しかし、生徒の意欲と能力に応じて、先生が一から授業プランをつくるというアプローチは、本来正しいのだ。
授業を受ける生徒たちの様子を見る限り、小石川中等教育学校の先生たちが、生徒たちの知的好奇心を刺激することに成功しているのは間違いない。
なにより、「こんな学校で、こんな授業を受けてみたかった」と、参観してみて実感する内容だった。
(取材・文/上田純美礼 2007年)


