企業から

2008/06/26
ハートフォード生命保険 教育は生活の質を向上させる

CSRレポート
トップ・インタビュー
ハートフォード生命保険株式会社 会長●グレゴリー A. ボイコ 氏
ハートフォード.jpg
日本政府から「日本名誉領事」に任命され活動しています。
米国の学生に、日本のことをもっとよく知ってもらうために講演も行っており、より良好な日米交流が実現されることを願っています。


コネチカット州ハートフォード市に本拠を構え、200年近い歴史を持つ米国の保険会社「ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・グループ」。その日本法人として2000年12月に日本の変額個人年金保険市場に参入した「ハートフォード生命保険株式会社」の会長グレゴリー A. ボイコ氏に、日本での教育CSRへの取り組みと、米国のCSR・社会貢献に対する考え方について聞いた。

日米学生交流を支援するCSR

日本から米国への留学生は約4万7,000人。米国から日本への留学生は約2,000人。この留学格差を解消するために米国ハートフォードは日米交流財団を通じて、米国東海岸の大学生の日本への留学を支援している。これは将来的なビジネスの分野での日米の相互理解を深めることを目的としたものだ。

ハートフォード・グループにとって、2000年の日本市場への参入は初めての海外進出で、その後の欧州等の海外市場への進出の試金石となった。

「参入当初は、「外資系の生命保険会社なんて成功できない」等と言われましたが、良い商品と健全な財務基盤、そして、良き企業市民であり、きちんとしたCSRをやっていっていけば、必ず受け入れていただけると確信していました。」

men.JPG日本での教育CSRは2002年から。ハートフォード市出身の作家、ハリエット・ストウの『アンクル・トムの小屋』出版150周年記念イベントとして、生家の「はなみずき」の苗木を世界各国に植樹することになり、日本では津田塾大学が選ばれたことから始まる。

その後も津田塾大学との交流は続き、2006年と2007年には、ハートフォード市にある『マークトウェイン・ハウス』の教員向けワークショップへ、津田塾大学の教員志望の学生を派遣した。「トム・ソーヤの冒険」の著者として知られるマーク・トウェインの作品は、米国の教育課程でも教材として使われているほど、米国文化を理解するうえで最適な教材だといわれている。参加した学生は帰国後、その成果をもとに教材を制作し、現役の高校生に対して『模擬授業』を行うというものだ。その『模擬授業』の内容は『マークトウェインハウス』のホームページ(http://www.marktwainhouse.org/japanese/)でも公開されることになっている。

また、2006年・2007年には(財)経済広報センター主催の『教師の民間企業研修』のプログラムに参加。毎年5名ほどの教師の就業体験を受け入れている。「当社のビジネスを学んでいただくと同時に、私たちも教育者の方々からいろいろな知恵をいただける機会になっています。」

★写真=津田塾大学での『アンクル・トムの小屋』出版150周年記念のはなみずき植
樹」(左から)津田塾大学 志村 尚子学長(当時)、ベイカー駐日大使
婦人(当時)、ハリエット・ビーチャー・ストウ・センター長 キャサリン・ケーン氏、ハートフォード生命グレゴリー A. ボイコ会長


CSRのメインテーマは「教育」

「ハートフォード・グループがCSRで特に、力を入れているの分野は『教育』です。教育は永続的に人々の生活の質を向上させるものだと考えているからです。米国の親会社の会長ラマニ・アイアーはインド出身で、エンジニアの学位を持っていますが、教育を積むことで、人生が大きく変わるということを身を持って体験した人物の一人です。」

2008年4月には、大学の公開講座などで『退職後に向けての資産形成』をテーマにした講座を開設した。
高齢者の数が多く、世界でも稀に見る長寿国である日本では『退職後に向けての資産形成』のニーズがある。平均寿命が高いということは、退職後の生活が長くなるということで、それに向けた「金融教育」が必要になってくるということだ。

「最近の米国でのCSRは、チャリティ的な要素と自社の事業の利益を組み合わせる傾向があります。例えば『環境』をテーマにCSR活動をしている自動車メーカーは、その活動をすることが『環境』のためでもあり、自社の『利益』のためでもある、というように。」

hat.jpg創業期には火災保険の事業が中心だったこともあり、消防団の役割も担っていたという。これは、社会に対する貢献と火災の被害が拡大すると、それだけ多くの保険金を支払わなければならなくなるという両方の意味があった。(写真=消防服の帽子)

「現在では『金融教育』の提供が、当社の利益にもつながるといったようなことだと思います。事業の目的と社会のニーズをマッチングしていく中で、『教育』とつながる部分もあると思いますし、できることはたくさんあると考えています。」


★マークトウェイン・ハウス  マークトウェインが1874年から1891年まで暮らした家を保存した資料館。 『トム・ソーヤの冒険』、『ハックルベリィ・フィンの冒険』、『ミシシッピの生活』などはこの家で執筆された。現在ではマートウェイン研究の拠点として、教員向けワークショップ等を開催している。

(取材・文/金子由起夫 2007年)

2008/06/25
ナルミヤ・インターナショナル
子どもたちの敵ではなく 味方でありたい。

CSRレポート
トップ・インタビュー
(株)ナルミヤ・インターナショナル 名誉会長●成宮雄三 氏

ナルミヤ.jpg「私はこの『ドリーム・プロジェクト』を通して、純粋に子供たちのことを考えている多くの人に会えた。
日本も捨てたもんじゃないというのが、私の最終的な結論なんですよ。」



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 ナルミヤ・インターナショナルは2005年から子供服事業20周年を記念して、子どもたちが「憧れの職業」を体験する「ドリーム・プロジェクト」を始めた。
 子どもたちの「憧れの職業」の企業や団体と協力して、ナルミヤがコスチュームを提供する。子供服という事業を通して、長年子どもたちを見つめてきた、ナルミヤ・インターナショナルの名誉会長、成宮雄三氏に子どもたちの変化と教育CSRの可能性について聞いた。

「憧れ」が子供の可能性を広げる

「あなたの夢は何ですか?」という問いに「特にない」という答えが多かった。2005年、子供服事業20周年記念イベントを企画するためのアンケートが、きっかけとなり、「子どもたちの『将来の夢』を応援する『ドリーム・プロジェクト』」はスタートした。
 ツインリンクもてぎでの「カーレーサーになろう!(協力:本田技研工業)」を皮切りに、パティシエ、パイロット&キャビンアテンダント、バレエダンサー、宇宙飛行士等さまざまな「憧れの職業」体験が企画された。

 「子どもたちと接していて、一番感じるのは学校に楽しさがない、夢がない。ということです。けれど、子どもたちもプロの人たちが来ると、目が輝いてくる。じっと話を聞いている。だって、面白いんですから。その中で「あっ!これやりたい!」とどんどん選択肢が広がる。そうするとがんばろうと思うし、授業も楽しくなる。「なりきっていく世代」。これがまさしく教育だし、何かをきっかけに、将来を決していくのだと思います。」と成宮氏。

 project_img03.jpg鹿児島から「パイロット&キャビンアテンダントになろう!(協力:日本航空)」に参加した女の子は、帰りの飛行機の中で、本物のキャビンアテンダントに「何かお手伝いをすることはありませんか」と申し出たという。

 「日本人が個性的ではないというけれど、そんなことはありません。小・中学生のときは自由で光っている。すばらしい個性を持っている。しかし、だんだん出口に近づくにつれて狭くなっていく。最後は、本当に行きたいところが自分の生きる場所ではなく、たまたま、受かったところが生きる道になる。無限の可能性を持っているのに、どんどんわずかなものになってしまう。そこに日本の閉塞感がある。これは明らかに大人の責任だと思います。」

 2005年10月からスタートしたこのプロジェクトの特徴は、多くの企業・団体の協力を得ていることだ。
 「『子どものために』という『子ども利益』であれば、企業や団体も純粋に協力してくれます。そういうのは子どもたちもわかるし覚えている。
もちろん、企業PRだとか将来のファン獲得だとか、そういう実利的な面もあります。持続性という問題も、1企業でやると余力があるときはできるけれど、なくなると止めざるを得ない。善意だけではなく、売名もあり、自己満足もあり、いろんなことがあって成立していくものだと思います。
本当に必要なのは、それを地方にも行き渡らせるようなプロジェクトでしょう。」

「自己主張」ができるようになった子どもたち

 05-04.JPG「子どもたちがわからない」。これが現代の教育の根本的な問題になっている。子どもたちは今、何を考えているのだろうか。

 「低学年では自己主張や自己選択をして、自分の意見を言える子どもが多くなっています。これはすばらしいことです。
 大体、親子のコミュニケーションが断絶するのが、『音楽』と『ファッション』。親がわからないから。私たちの売り場でも、人目も気にせず親子喧嘩が始まる(笑)。

 ものさし自体が変わってきています。昔のものさしではダメで、今のものさしを持ってきてあげると子どもたちも安心するし、やる気を起こします。
 今の子どもたちは絶対にしっかりしている。けれど、もがいているというのも事実です。こうやったら怒られるとか。テレビなんかを観ているからいろんなことを知っているけれど、なかなか正否の判断ができない。友達に相談しても答えは出ない。お父さんお母さんも忙しく、相談できない。豊かなんだけれど寂しい家庭になっている。
子どもが孤立しているんです。子どもたちのサイドに立ったものの見方をしてバックアップしてくれる大人が必要なのだと思います。だってかわいそうですよ。一方通行で。「反対者の多い中で、いつも、子どもたちの味方でありたい」それが私たちの願いなんです。」

(取材・文/金子由起夫 2007年)

2008/05/15
三洋電機 「電池という身近なものから 地球環境を一緒に考える。」

======お話をうかがったキーマン=====
三洋電機(株) CSR部コミュニケーション推進課 課長●平田勇人 氏
sanyohirata.jpg学校や環境団体を対象に、環境授業の「教材セット」の無償提供と「環境教育用テキスト」の無償ダウンロードも始めました。私たちメーカーの持っているコンテンツをより多くの形で、提供できればと考えています。


 私たちの生活のさまざまな場面で、多くの電池が使われている。懐中電灯、電卓、携帯電話や、
デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機などなど。
日本全国で販売されている「使いきりタイプの乾電池」は、年間で約2221億本。全世界では400億本。
その使い切られた電池は、きちんと分別されれば自治体により回収され、一部はリサイクルされるが、その他は多くの家庭で不燃物として処理されるゴミ箱に捨てられている。

一方、充電池は一度使い切っても充電すれば繰り返し使え、使い終わった充電池は、
捨てずに、リサイクルボックスへ入れることにより、ステンレス製品などの材料として、リサイクルされる。

繰り返し使える電池と 環境授業のはじまり。

三洋電機は2005年7月、ブランドビジョン「Think GAIA」を掲げ、「環境・エナジー先進メーカー」を
めざしている。これは、現在の私たちの生活の利便性を確保し、さらに進化させながら、地球環境への
負荷を低減する商品やソリューションを提供していくという地球と人との「共生進化」を意味する。

その第一弾として、同年11月に発売された商品が、繰り返し使える電池「eneloop(エネループ)」だ。

そして、その発売を機に、全国の小学校への「エネループ」の寄贈と小学校54〜、6年生を対象とした
2時限(90分間)の環境授業を行なう「小学校ENERGY EVOLUTION PROJECT」を開始した。
(現在は、「小学校ECO EDUCATION PROGRAM」)

「3R宣言」が環境行動のきっかけに。

[私たちの便利で豊かな生活と引き換えに、
『地球温暖化』『資源の減少』『廃棄物の増加』など深刻な環境問題が起こっています」。
三洋電機の環境授業はこんな話から始まる。

次に
「2100年までに地球の平均気温は最大6・4度上昇し、グリーンランドの氷が
1分間に25mプール243個分も溶けている」
「石油は約41年で枯渇する」「ゴミの埋立地はあと約15年でいっぱいになる」
という地球環境の危機を示すさまざまなデータを示す。

そして、「二酸化炭素を出す量が1990年と比べて一番増えているのは?」「私たちの生活で石油が使われているものは?」「私たちは1日にどれだけのゴミを出しているの?」
と、それぞれの環境問題を自分たちの生活レベルに置き換えて考えてみる。

では、「環境に良いってどういう暮らしだろうか?」と考えてもらう。
すると、自分たちの暮らしが「大量生産・大量消費・大量廃棄」というライフスタイルであることが見えてくる。
そこで、環境に良い暮らしをするための工夫の一つに「リデュース・リユース・リサイクル」
という行動があることを知らせ、自分たちでもできる「3R」をみんなで考え、書き出して発表しあう。
最後に自分で今日から実行する3R行動を「3R宣言」として宣言する。

様々な体験学習を通して 楽しみながら学習

この環境授業には電池に関する3つの三つの体験学習がが含まれている。

1つ目は、ステンレス製のスプーンとアルミ皿と食塩水を使って、電子オルゴールを鳴らす「人間電池をつくろう!」。2種類の金属と電解液(この場合は食塩水)が反応して電気が発生するということを
子どもたちに体験してもらう実験だ。

2つ目は、容量のなくなった充電池を実際に充電してもらい、模型電車を走らせる
「充電池を充電体験しよう!」。

3つ目はアルカリ電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、マンガン電池、ニカド電池などの
さまざまな電池を持ち込み、子どもたちに触れてもらいながら、乾電池と充電池の違いを理解してもらう
「いろいろな電池に触れてみよう!」。

更に、08年度からは新しい実験「えんぴつ充電池をつくろう」も追加。
学年などによって実験内容を選択できるよう、対応している。

そして、最後に子どもたちに、自分たちの考えた「これから○○○をします!」という「エコ宣言」を発表して
もらうことで授業は終了する。

「特に、最近ではレアメタルが世界的に高騰しています。私たちはメーカーの責任として、電池に使う
希少金属の使用量を減らす商品開発をしていますが、同時に充電池をもっと子どもたちや社会に
知ってもらい、使ってもらうことで、社会全体で大切な地球資源の使用量が低減できればと
考えています」と担当の平田勇人氏は語る。

三洋電機は充電池のほかにも「環境・エナジー先進メーカー」として、水処理や太陽光発電等のビジネス
にも力を入れている。企業のビジネスの活動のベクトルと社会貢献の活動のベクトルは本来的には
一致しているべきものという考え方がある。

「地球環境に優しい製品を開発し、販売し、同じテーマで社会貢献活動もしていく」という三洋電機の
「Think GAIA」の取り組みは、その一例と言えるのではないだろうか。


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★電池の種類

電池の種類には、アルカリ電池やマンガン電池などの使い切りタイプの「乾電池」とニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの、充電して繰り返し使うタイプの「充電池」の2種類がある。三洋電機は約1千回繰り返し使える充電池を開発した。

★環境授業

3R.jpg06年4月から84校の小学校で出前形式の環境授業を開催。(08年5月末現在)
また、07年度よりこの授業で使っている教材を子どもたちの環境教育に携わっている先生や自治体、NPO関係者に無料で提供している。

★子どもにできる3Rの例

リデュース=食べ残しをしない。必要なものだけを買う。小さくなった鉛筆でも使う。
リユース=いらないものをフリーマーケットに出す。お米のとぎ汁を花にやる。
リサイクル=再生紙のノートを使う。ビンや缶は分別してリサイクルする


★人間電池をつくろう!

sanyo 2.jpg人間が電池になってオルゴールを鳴らす実験。

★環境授業の反応
「人間電池」などさまざまな実験も取り入れたこの環境授業は、子どもたちに非常に好評で、「充電池ってすごい! 家のみんなにも教えたい」「またこういう機会があれば是非受けたい!」「これからの地球を守るのは私たち! 自分たちのできることからやっていきたい!」という感想がたくさんあった。また、先生方からも「企業の方から実際に話を聞ける取り組みはとても効果的。ぜひ今後も続けてほしい」というようなコメントが寄せられている。

(取材・文/金子由起夫)


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